イノウエブラザーズが伝えたい事
2015.10.21 / INTERVIEW
ダイスアンドダイスで取り扱うブランド『THE INOUE BROTHERS... / イノウエブラザーズ』。
2015年9月ダイスアンドダイス東京店にやってきたお二人が伝えてくれた、ボリビア・ペルーで生まれるアルパカ製品の事。
そのままの形でお客様へお伝え出きたらと思い、文字として書き起こしました。
商品の奥にあるすばらしい出来事、是非ご覧ください。
"ダイレクトトレード"という方法で、生産者の生活を豊かにする事
「ペルーでは世界のトップブランドのアルパカ製品を作っているんです。しかし、アルパカという素晴らしい素材となる動物と生活を共にしているはずの農家の方たちは、南米で一番貧しい人たちだった。それはなぜかっていうと、間に入っているエージェントたちが全ての毛を混ぜて重さで買って、後で整理していいところだけを高く売り、悪いところはもう少し安く売って、その間に発生する利益を持っていってしまうっていう仕事をやっていたんです。だからある意味では、農家の方たちを利用しているっていうか。。。。
僕たちが取り入れた "ダイレクトトレード" っていうのは、言葉と同じで、間の人たちを全部削って、間にかかる利益とコストを全部削って、直接農家の方たちとの関係をつくって繊維を買うという方法なんです。次にそれを直接、生産所に持っていき生産してもらうシステム。
僕たちは農家の方たちに直接、毛の刈り方やクオリティーの違い、値段の違いっていうのをセミナーなどで伝えていきました。その甲斐あって、農家の方たちも一番いいアルパカを僕たちに売ってくれるようになったんです。
僕たちの取引は今年で9年目、その信頼関係のおかげで農家の方たちの利益も増え、僕たちは素晴らしいアルパカを手に入れることが出来る。また、余計なコストを全部削ることができるので、お客様への適性な価格で商品をお渡しできる。これこそがダイレクトトレードの一番いいところなのです。」
最高の素材で製品をつくるということ
「動物の毛の繊維の評価のしかたは二つあって、ひとつは手触り、つまりハンドフィルド。
もうひとつは繊維の細さ。細い程クオリティーが高いんですよ。その細さは、マイクロって1000分の1ミリ単位で測るんです。カシミアなんかでも同じなんですけど、世界でトップのクオリティっていうのはだいたい16~19マイクロくらいなんです。アルパカでは、そこがロイヤルアルパカと呼ばれるもので、それがトップのクオリティ。でもロイヤルアルパカは量が少なすぎて、大量生産しているブランドにはなかなか使えない素材なんですよ。
我々が掲げるスローガンは、『スタイルは、大量生産出来ない』。カッコ良さは大量生産できないというものなので、ロイヤルアルパカとかベビーアルパカを思いっきり使ってつくっています。ロイヤルアルパカで製品を作っているブランドって、ほとんど僕たちだけなんです。
確実に世界一のクオリティ、世界一のアルパカ。こんなにいいアルパカの商品は今世界中、どこを探しても無いと思います。
しかもその素晴らしい商品を、ダイレクトトレードのおかげで一番適切で、一番いい価格で紹介出来るって言うのが、僕たちイノウエブラザーズの商品の特徴でもあるんです。」
デイリーウエアーに最も適しているのがベビーアルパカ
「だんだんと商品を作っていくうちに、繊維の編み方によってどのアルパカがベストかっていうのが少しずつわかってきたってきたんです。
最高の肌触りはもちろんロイヤルアルパカ。でも毎日ガンガン着れるのは、ベビーアルパカがすごくいいんですよ。ロイヤルアルパカよりも少し頑丈だからね。毎日着てても大丈夫。
毛玉の立ち方っていうのは、1から5までの数字で計るんですけど、通常のカシミヤはだいたい2なんですよね。数字が小さい方が柔らかい分毛玉が立ちやすいんです。だから着てても、当然なんですけどすぐに毛玉が立っちゃう。僕たちが使っているロイヤルアルパカはだいたい4なんですよ。なのでけっこう使わないと毛玉が立たない。カシミヤと比べると柔らかさは同じでも倍頑丈だし毛玉が立ちにくいんです。
ベビーアルパカはロイヤルの次に柔らかいんですけど、その数字が4から5なんですよ。だからこちらの商品は、すごく毛玉が立ちにくい、これがすごい所。ペルーやボリビアでも仕事してるときに使うクオリティなんですよね。先住民の人たちも、これで作られたすっごい派手なブランケットの中にモノを入れて運んだりしているんです。」
天然素材そのものが持つ力
「アルパカの素材としてのすごい所は、4000メートル以上の高知に暮らしている動物なので、繊維の中が空間になっているとこなんです。
アンデスでの朝はだいたいマイナス10度から15度。雪も降ってたり、すごく寒いんです。でも日中はそこからプラス5度から10度くらいになる。なので季節関係なく、一日のうちに20から25度の温度変化のある環境の中で暮らしていかなくちゃいけない。
だからアルパカの毛は自然的な機能性として、サーマル効果がある。寒いときには暖かく、でも急に暑い環境に入ると体温を逃がしてくれる。それがアルパカの特徴なんです。」
すべてがナチュラルな素材なんです
「今ってファッションの中でも、ナチュラルな素材からハイテクなものまでいろんな素材が増えてきてるじゃないですか。
僕たちは本当にナチュラルなもの、自然のパワーをみんなに知って欲しいっていうことで、ボタンからこういうトリミングも全てナチュラルなもの使ってます。
補強を兼ねたレザーのトリミングとホーンボタンなんですけど、これも全部食べ物に使われる牛の角や皮を使ったものなんですよね。
そういう細かい所でもきちんと気を配って作るっていうのが、俺たちのブランドポリシーっていうのかな。」
ニューラグジュアリー
「デザインからいうと2つ大事にしてるものがあって、僕たちが名前を決めたんですけど、一つ目は『クラシックモダン』、クラシックな所を活かしながらモダン化させる。
二つ目は『ニューラグジュアリー』、ラグジュアリーっていうのは関係している人達皆がハッピーじゃないと本当のラグジュアリーにはならないということ。
農家の方たちや縫製している方たちに、もっと適性な利益を取ってもらって、お客様にもハイクオリティだから少し高いかもしれないけど、一切余計なコストを省き、クオリティそのものにしかお金を払ってないって、そう言えるものこそが本当のラグジュアリーだと思うんですね。
ダイヤモンドどか金とかっていうのは、どっかで誰かが利用されて苦しんでる事もある。ブラックダイヤモンドとかって内戦の原因にもなってるじゃないですか。
そういうものは決してラグジュアリーなんかって呼んじゃいけないっていうのが、僕たちが思っていることなんです。」
最も大切なプロジェクト
「この手編みプロジェクトも、僕たちは最初の方からずっとやってきてるんだけど、これはもう特別なプロジェクトなんです。このアイテムは他のものと違って、すべて手編み。
アンデスに住んでる手編みを専門としてる女性たちは、妊娠すると工場からクビにされるんですよね。妊娠中には給料を払いたくないし、こどもが生まれたらちゃんと仕事を出来なくなっちゃう状況が多いので、すぐに仕事を取り上げられちゃうんですよ。
クビにされた女性たちの中には、すごく手編みの技術があるのに仕事そのものがない方がたくさんいるんですよね。。。
僕たちはそんな女性たちを揃えてくれるネットワークと出会ったんです。
そこには手編みの仕事を女性たちが家でできるようにするシステムがあって、彼女たちはこどもたちの面倒を見ながら家のことを全部やりながら、時間があったときに編むことができて、給料をもらうことができる。素晴らしいプロジェクトなんです。
この僕たちのプロジェクトは『プロフェッショナルマザー』って呼んでいて、今まで一番苦労してたお母さんたちが、このプロジェクトのおかげで仕事を得ることができる。
僕たちにとっては一番大事なプロジェクトなんだけど、やっぱり手編みで、しかもロイヤルアルパカで作るっていうのをこだわってるから、どうしても値段も高くなってしまう。だから全部のコレクションからするとほんの一部なんだけど、これを編んでくれてる人たちからするとすごく大事なプロジェクトなので、少しずつでも常に続けたいと思っています。」
普段なかなか聞く事のできない生産現場での話はいかがでしたでしょうか?
カシミヤやシルクとはひと味違うアルパカの魅力。
作り手の思いがダイレクトに詰まった「THE INOUE BROTHERS...」の商品をお楽しみください!
(ダイスアンドダイス)
THE INOUE BROTHERS...
(イノウエ ブラザーズ)
いのうえ・さとる&きよし
兄の聡は1978年、清史は1980年生まれ。
ともにデンマークのコペンハーゲンで生まれ育った。「ザ・イノウエブラザーズ」の特徴である「日本の繊細さ」と「北欧のシンプルさ」への愛情を基本に生まれたデザインを、彼らは「Scandinasian」(スカンジナジアン)デザインと呼ぶ。聡はコペンハーゲンを拠点にグラフィックデザイナーとして、清史はロンドンを拠点にヘアデザイナーとしても活躍。そこで得た収入のほとんどを「ザ・イノウエブラザーズ」の活動に費やす。
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2015年9月ダイスアンドダイス東京店にやってきたお二人が伝えてくれた、ボリビア・ペルーで生まれるアルパカ製品の事。
そのままの形でお客様へお伝え出きたらと思い、文字として書き起こしました。
商品の奥にあるすばらしい出来事、是非ご覧ください。
"ダイレクトトレード"という方法で、生産者の生活を豊かにする事
「ペルーでは世界のトップブランドのアルパカ製品を作っているんです。しかし、アルパカという素晴らしい素材となる動物と生活を共にしているはずの農家の方たちは、南米で一番貧しい人たちだった。それはなぜかっていうと、間に入っているエージェントたちが全ての毛を混ぜて重さで買って、後で整理していいところだけを高く売り、悪いところはもう少し安く売って、その間に発生する利益を持っていってしまうっていう仕事をやっていたんです。だからある意味では、農家の方たちを利用しているっていうか。。。。
僕たちが取り入れた "ダイレクトトレード" っていうのは、言葉と同じで、間の人たちを全部削って、間にかかる利益とコストを全部削って、直接農家の方たちとの関係をつくって繊維を買うという方法なんです。次にそれを直接、生産所に持っていき生産してもらうシステム。
僕たちは農家の方たちに直接、毛の刈り方やクオリティーの違い、値段の違いっていうのをセミナーなどで伝えていきました。その甲斐あって、農家の方たちも一番いいアルパカを僕たちに売ってくれるようになったんです。
僕たちの取引は今年で9年目、その信頼関係のおかげで農家の方たちの利益も増え、僕たちは素晴らしいアルパカを手に入れることが出来る。また、余計なコストを全部削ることができるので、お客様への適性な価格で商品をお渡しできる。これこそがダイレクトトレードの一番いいところなのです。」
最高の素材で製品をつくるということ
「動物の毛の繊維の評価のしかたは二つあって、ひとつは手触り、つまりハンドフィルド。
もうひとつは繊維の細さ。細い程クオリティーが高いんですよ。その細さは、マイクロって1000分の1ミリ単位で測るんです。カシミアなんかでも同じなんですけど、世界でトップのクオリティっていうのはだいたい16~19マイクロくらいなんです。アルパカでは、そこがロイヤルアルパカと呼ばれるもので、それがトップのクオリティ。でもロイヤルアルパカは量が少なすぎて、大量生産しているブランドにはなかなか使えない素材なんですよ。
我々が掲げるスローガンは、『スタイルは、大量生産出来ない』。カッコ良さは大量生産できないというものなので、ロイヤルアルパカとかベビーアルパカを思いっきり使ってつくっています。ロイヤルアルパカで製品を作っているブランドって、ほとんど僕たちだけなんです。
確実に世界一のクオリティ、世界一のアルパカ。こんなにいいアルパカの商品は今世界中、どこを探しても無いと思います。
しかもその素晴らしい商品を、ダイレクトトレードのおかげで一番適切で、一番いい価格で紹介出来るって言うのが、僕たちイノウエブラザーズの商品の特徴でもあるんです。」
デイリーウエアーに最も適しているのがベビーアルパカ
「だんだんと商品を作っていくうちに、繊維の編み方によってどのアルパカがベストかっていうのが少しずつわかってきたってきたんです。
最高の肌触りはもちろんロイヤルアルパカ。でも毎日ガンガン着れるのは、ベビーアルパカがすごくいいんですよ。ロイヤルアルパカよりも少し頑丈だからね。毎日着てても大丈夫。
毛玉の立ち方っていうのは、1から5までの数字で計るんですけど、通常のカシミヤはだいたい2なんですよね。数字が小さい方が柔らかい分毛玉が立ちやすいんです。だから着てても、当然なんですけどすぐに毛玉が立っちゃう。僕たちが使っているロイヤルアルパカはだいたい4なんですよ。なのでけっこう使わないと毛玉が立たない。カシミヤと比べると柔らかさは同じでも倍頑丈だし毛玉が立ちにくいんです。
ベビーアルパカはロイヤルの次に柔らかいんですけど、その数字が4から5なんですよ。だからこちらの商品は、すごく毛玉が立ちにくい、これがすごい所。ペルーやボリビアでも仕事してるときに使うクオリティなんですよね。先住民の人たちも、これで作られたすっごい派手なブランケットの中にモノを入れて運んだりしているんです。」
天然素材そのものが持つ力
「アルパカの素材としてのすごい所は、4000メートル以上の高知に暮らしている動物なので、繊維の中が空間になっているとこなんです。
アンデスでの朝はだいたいマイナス10度から15度。雪も降ってたり、すごく寒いんです。でも日中はそこからプラス5度から10度くらいになる。なので季節関係なく、一日のうちに20から25度の温度変化のある環境の中で暮らしていかなくちゃいけない。
だからアルパカの毛は自然的な機能性として、サーマル効果がある。寒いときには暖かく、でも急に暑い環境に入ると体温を逃がしてくれる。それがアルパカの特徴なんです。」
すべてがナチュラルな素材なんです
「今ってファッションの中でも、ナチュラルな素材からハイテクなものまでいろんな素材が増えてきてるじゃないですか。
僕たちは本当にナチュラルなもの、自然のパワーをみんなに知って欲しいっていうことで、ボタンからこういうトリミングも全てナチュラルなもの使ってます。
補強を兼ねたレザーのトリミングとホーンボタンなんですけど、これも全部食べ物に使われる牛の角や皮を使ったものなんですよね。
そういう細かい所でもきちんと気を配って作るっていうのが、俺たちのブランドポリシーっていうのかな。」
ニューラグジュアリー
「デザインからいうと2つ大事にしてるものがあって、僕たちが名前を決めたんですけど、一つ目は『クラシックモダン』、クラシックな所を活かしながらモダン化させる。
二つ目は『ニューラグジュアリー』、ラグジュアリーっていうのは関係している人達皆がハッピーじゃないと本当のラグジュアリーにはならないということ。
農家の方たちや縫製している方たちに、もっと適性な利益を取ってもらって、お客様にもハイクオリティだから少し高いかもしれないけど、一切余計なコストを省き、クオリティそのものにしかお金を払ってないって、そう言えるものこそが本当のラグジュアリーだと思うんですね。
ダイヤモンドどか金とかっていうのは、どっかで誰かが利用されて苦しんでる事もある。ブラックダイヤモンドとかって内戦の原因にもなってるじゃないですか。
そういうものは決してラグジュアリーなんかって呼んじゃいけないっていうのが、僕たちが思っていることなんです。」
最も大切なプロジェクト
「この手編みプロジェクトも、僕たちは最初の方からずっとやってきてるんだけど、これはもう特別なプロジェクトなんです。このアイテムは他のものと違って、すべて手編み。
アンデスに住んでる手編みを専門としてる女性たちは、妊娠すると工場からクビにされるんですよね。妊娠中には給料を払いたくないし、こどもが生まれたらちゃんと仕事を出来なくなっちゃう状況が多いので、すぐに仕事を取り上げられちゃうんですよ。
クビにされた女性たちの中には、すごく手編みの技術があるのに仕事そのものがない方がたくさんいるんですよね。。。
僕たちはそんな女性たちを揃えてくれるネットワークと出会ったんです。
そこには手編みの仕事を女性たちが家でできるようにするシステムがあって、彼女たちはこどもたちの面倒を見ながら家のことを全部やりながら、時間があったときに編むことができて、給料をもらうことができる。素晴らしいプロジェクトなんです。
この僕たちのプロジェクトは『プロフェッショナルマザー』って呼んでいて、今まで一番苦労してたお母さんたちが、このプロジェクトのおかげで仕事を得ることができる。
僕たちにとっては一番大事なプロジェクトなんだけど、やっぱり手編みで、しかもロイヤルアルパカで作るっていうのをこだわってるから、どうしても値段も高くなってしまう。だから全部のコレクションからするとほんの一部なんだけど、これを編んでくれてる人たちからするとすごく大事なプロジェクトなので、少しずつでも常に続けたいと思っています。」
普段なかなか聞く事のできない生産現場での話はいかがでしたでしょうか?
カシミヤやシルクとはひと味違うアルパカの魅力。
作り手の思いがダイレクトに詰まった「THE INOUE BROTHERS...」の商品をお楽しみください!
(ダイスアンドダイス)
THE INOUE BROTHERS...
(イノウエ ブラザーズ)
いのうえ・さとる&きよし
兄の聡は1978年、清史は1980年生まれ。
ともにデンマークのコペンハーゲンで生まれ育った。「ザ・イノウエブラザーズ」の特徴である「日本の繊細さ」と「北欧のシンプルさ」への愛情を基本に生まれたデザインを、彼らは「Scandinasian」(スカンジナジアン)デザインと呼ぶ。聡はコペンハーゲンを拠点にグラフィックデザイナーとして、清史はロンドンを拠点にヘアデザイナーとしても活躍。そこで得た収入のほとんどを「ザ・イノウエブラザーズ」の活動に費やす。
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