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Nicholas Taylor&the inoue brothers... INTERVIEW

Nicholas Taylor&the inoue brothers... INTERVIEW

2015.04.30 / INTERVIEW

バスキアとバンドを組み、同居生活をしながら素顔のバスキアを撮影し、はじめてスクラッチをした白人DJとも称される「Nicholas Taylor / ニコラス・テイラー」。
文化と洋服を結びつける今最も注目すべき兄弟「the inoue brothers... / イノウエ ブラザーズ」にダイスアンドダイスがインタビューを敢行。



「すぐ彼と仲良くなって、クレイジーに踊ったり、、、」(Nicholas Taylor)

Dice&Dice :
ーー80年代からセンセーショナルな活動をしてきたと思いますが、被写体でもあるバスキアとの撮影セッションはどのようなものだったのですか?

Nicholas Taylor :
1979年1月、「Mudd Club / マッドクラブ」と言われているところで初めて「Jean-Michel Basquiat / ジャン ミシェル バスキア」に出会いました。
あの夜、すぐ彼と仲良くなって、クレイジーに踊ったり、ビールを盗んだりして、、。
そのあと一緒に電車に乗って、僕のアパートに帰りました。
その時に彼から、車両に吹き付けられたグラフィティーの読み解き方法を教わりました。
僕は独学でフォトグラフィを学んだので、私のアパートの壁には大きい白い紙を吊るしていました。
アパートに辿り着いた後に、私は彼がモデルのように様々なポージングする様を撮影しました。
それはまるで「Marlon Brando / マーロン・ブランド」や「James Dean / ジェームス ディーン」を撮影している感覚でした。
だいたい40枚の写真を撮影の後、彼に私のポートレイトを撮るのは大丈夫か?と聞かれてました。
彼は私の顔にテープをつけて、私のポートレイトを撮影してくれました。
私の知る限り、彼に撮影されたポートレイトは、私のポートレイトしかありません。



「二人のコミュニケーションは強いものでした」(Nicholas Taylor)

Dice&Dice :
ーーバスキアとの一番の思い出は何ですか?

Nicholas Taylor :
彼が絵を描いたロフトで、一緒にいた時の事は一番よく覚えています。
1982~1984年頃、彼の絵を描く姿を身近に見れた事は私にとってとても恵まれた経験でした。
いつも彼は私を誘ってくれました、当時彼にとって僕は精神的な助っ人のような存在だったのかもしれません。
彼が絵を描いている時はあまり話をしませんでしたし、なぜ僕のことを気に入ったかよく分からないけれども、二人のコミュニケーションは強いものでした。
深夜にアパートに帰ってから描いたものは、朝になると考えられないくらい全然違うものに変化していました。
僕の目の前で変わっていく絵がすごく多かったです。
とても刺激的な経験でした。

「パンクカルチャー始めとする異なったカルチャーが行き交うニューヨーク」(Nicholas Taylor)

Dice&Dice :
ーーあなたは何がきっかけで写真を撮り始めたのですか?

Nicholas Taylor :
1975年、私は初めての日本でカメラを購入しました。
6ヶ月間一人で日本全国を旅しながら、たくさんの写真を撮りました。
アメリカに帰国後、自分で白黒の写真現像を学んび、その後ヨローッパでまた沢山の白黒の写真を撮影しました。
その後、アートの世界における自分を築き上げる為にNYに移り住みました。
当時、パンクカルチャー始めとする異なったカルチャーが行き交うニューヨーク。
私は沢山の面白い環境に足を踏み入れることが出来ました。
例えばMudd Club’で「Andy Warhol / アンディー ウォーホル」に会った時、彼に何のカメラを持っている?と聞くと、"Minox"と彼は答えました。
私もminoxを手に入れて再びmudd clubに足を運びました。
タバコのパッケージと同じ大きさのminoxは私にとって特別なカメラになりました。



「黒人達が耐えてきた差別と苦しみに比べるとチッポケなもの」
(the inoue broters...)

Dice&Dice :
ーー「Nicholas Taylor / ニコラス・テイラー」と出会った経緯・印象はどうでしたか?

the inoue broters... :
初めてニックと会ったのは2006年でした。僕達の先輩、兄貴みたいな存在でもある「鶴田研一郎」氏が紹介してくれました。
「お前らにスゲーやつを紹介するよ。80年代のニューヨークのアバンギャルドカルチャーのパイオニアでバスキアの親友だった男だよ」とケンさんらしくクールに言われました。
僕達はアートやストリートカルチャーに興味を持ち始めた十代の頃からバスキアの大ファンです。
僕達はデンマークで生まれ育ちでありながら、見た目はアジア人です。
周りからは外国人として見られながら育ってきました。
差別や偏見もたくさん経験しています。
しかし、アメリカの黒人達が耐えてきた差別と苦しみに比べるとチッポケなものだと思うのです。
その環境の中で黒人として近代アートの世界のトップまで数年間で到達したバスキアに憧れていました。
今でも深く尊敬しているし、模範になっています。
僕達はとても興奮しました事を覚えています。

「質の高いデザインへ」(Nicholas Taylor)

Dice&Dice :
ーーthe inoue brothers...の洋服や様々な物に対する好奇心・こだわりについてどう思いますか?

Nicholas Taylor :
the inoue broters...は様々なモノのレベルを超える、大きコンセプトを持っています。
サトルとキヨシの二人は、様々な意味で光と陰で同じようにバランスが取れた存在であり、私たちに平和なメッセージを送り出してくれます。
世界中の芸術的な職人達と、心の底から物作りを通して、様々な素晴らし旅をしています。
世界中から、高品質な素材を集めることが、the inoue brothers...の質の高いデザインへと反映されている様に思います。
私は二人とコラボレーションをできるという事を贅沢な事だと考えています。
the inoue brothers...は、コーペンハーゲンとロンドンで私の為に素晴らしい展示会いを開いてくれました。
またロンドンでは、「Dover Street Market / ドーバーストリートマーケット」に連れて行ってくれ、私が撮影したバスキアのTシャツとthe inoue brothers...が出版した本「Jean-Michel Basquiat Through Nicholas Taylor」が展示されているディスプレイを見せてくれました。

世界から集めた最上級のアルパカを使用したデザイン、とても暖かそうな秋冬のセーターやマフラーなどには強いインスピレーションを受けました。
私はその時、the inoue broters...のレベルを全て理解しました。
ボリビアへの旅や、柔らかく高品質なアルパカ、そして彼らのどこか土臭くスピリチャルなテイスト。
さらにあのthe inoue broters...という雰囲気です。



「維持し続けることは大切なこと」(Nicholas Taylor)

Dice&Dice :
ーー音・写真などをクリエイションするスピリットは何ですか?

Nicholas Taylor :
1977年、アートや音楽、フォトグラフィなどを作る為にニューヨークへ移りました。
常に同じ、且つ、周りにある要素で新しい物を作り出すというアプローチの為です。
私にとってそのアプローチが、永遠の可能性になるプロセスです。
そうして、この過激なアプローチとニューヨークの生々しい環境に、私は強く圧倒されてしまい、1890年代には自身に精神的な問題があることに気付き始めました。
私は完全にまいってしまい、引きこもっていたけれど、創作活動は何も変わらなかったのです。
いつもアートと音楽、フォトグラフィをやり続けていました。
私のカセットテープコレクションは、初期のHIPHOPのアーティストが私のアパートで作ったテープや、私が自分で作ったテープが多くあります。
何百時間もかけて、テープに録音していました。
私が所属した「GRAY / グレイ」は、Jean-Michel Basquiat / Michael Holman / Wayne Clifford / Vincent Galloと私を始めとする、とてもクレジーなアーティストプラットフォームでした。
「無知は創造力」というスピリットの元、「GRAY / グレイ」は1979年のスピリットを継ぎ続けています。
だからこそ、私はMichael Holmanと一緒にGRAYを維持し続けることは大切なことだと思うのです。



「恐れている事を挑戦する勇気」(the inoue broters...)

Dice&Dice :
モノやアートをキュレーションするスピリットは何ですか?

the inoue broters... :
僕達とニックは20歳ぐらい歳が離れています。
僕達が育った時代はどんどん商業化され、なんでもお金で動かされる時代です。
特に北欧は優雅なところで、僕達の世代は結構平和ボケで物を作る前に周りの評価や売り上げを考えるクセがありました。
ニックに会って僕達が十代の頃、大好きだったあのニューヨークのヒップホップカルチャーのハングリー精神や反逆の魂を思い出させてくれました。
金がなくても、周りがどう思っていても、権力者と社会の不公平に対しての怒りと表現したいアートを世界にぶつける魂こそ、今の時代に必要だと思います。
アクリルペイントやキャンバスを買うお金がなかったら、ペンキ屋さんで一番安いスプレーを買い町の壁をキャンバスにするグラフィッティの魂、ダンス教室に通うお金がなければ、ダンボールの上でブレイクダンスをする、楽器やスタジオを買うお金がなければ、道でターンテーブルとマイク2本でラップをする魂、これこそが80年代のニューヨーク魂だと思います。
僕達の時代は全部安全に安全にと考えるくせがある。
仕事をする前に50年先の年金の事を考えている僕達の世代、これでいいのか?そう疑問を立てる僕達になれたのがケンさんやニックみたいな先輩たちのおかげです。
あの時代と彼らのスピリットは2文字で表現できます。
「勇気」です。
怖いもの知らずではなく、恐れている事を挑戦する勇気です。
それを生き様で見せてくれたニックやバスキアの魂を一番ピュアと誠実に伝えるのが今回のキュレーションの目的です。
僕達がニックに会えて学んだ事と感動をこのイベントを通して皆さんとシェア出来たら幸せです。

「自分の中にある、本当の想像力」「勇気」

Dice&Dice :
最後に、今一番未来へ向かう若い世代に伝えたい事は何ですか?

Nicholas Taylor :
世界中を深く深く探ろう。常識を超えよう。自分の中にある、本当の想像力を見つけよう。

the inoue broters... :
勇気を持とう!他人の評価を気にしない自信を持とう!
金がなくても、有名な大学を卒業していなくても、全てを挑戦し、負けず嫌いなハングリー精神を持とう!
忍耐強さと助けてくれた人たちを絶対に裏切らないこと。
周りから尊敬され、愛され、信頼される人になろう!


最後に

Nicholas Taylor :
「Jean-Michel Basquiat / ジャン ミシェル バスキア」に出会ったのは私にとってとても楽しい思い出です。
mudd clubはオープンしたばかりのとても熱気のある場所だった。
私たちのような若者は貧乏だったし、お金もなかったけれど、ただでclubに出入りしていました。
Dance floorで私の隣にクレイジーに踊った男がいました。
その男は私を笑顔で歓迎してくれました。
その男は”Jean”でした。
その時に彼は有名でなっかたけれど、凄く人気でした。
彼と深夜まで一緒に踊りました。
凄く笑ったり、ハイになったり、バーに踊ってた人が置いたビールを盗んだりしました。
私は彼が特別な人だと分かっていました。
とても若くて、クリエーティブなオーラに溢れていて。
その時に彼の生き様は、呑気で危なかしい反面、とても美しいものでした。

Dice&Dice :
ダイスアンドダイスで行われるイベントを前にメールにてインタビューに答えて下さった「Nicholas Taylor / ニコラス・テイラー」と「the inoue brothers... / イノウエ ブラザーズ」に感謝の意を表します。リスペクト!




Nicholas Taylor a.k.a DJ High Priest
(ニコラス・テイラー/DJ ハイ・プリースト)
DJ/フォトグラファー。
あのジャン・ミシェル・バスキアやヴィンセント・ギャロ、マイケル・ホルマンなども所属していたニューヨークのアヴァンギャルド・バンド、『GRAY』のメンバー。また80年代後半に活動し、今も精力的に活動を行っている知る人ぞ知る伝説のノーウェイヴ/ヒップホップバンド、Rammelzee(ラメルジー)も所属している『Death Comet Crew』のDJ/ビートメイカーでもある。そしてN.Y.C.ブレイカーズのDJ、はじめてスクラッチをした白人DJ。さらにフォトグラファーとしても活動するなど様々な”顔”を持つ、『ニューヨークの生ける伝説』とよばれる男。



the inoue brothers...
(イノウエ ブラザーズ)
いのうえ・さとる&きよし
兄の聡は1978年、清史は1980年生まれ。
ともにデンマークのコペンハーゲンで生まれ育った。「ザ・イノウエブラザーズ」の特徴である「日本の繊細さ」と「北欧のシンプルさ」への愛情を基本に生まれたデザインを、彼らは「Scandinasian」(スカンジナジアン)デザインと呼ぶ。聡はコペンハーゲンを拠点にグラフィックデザイナーとして、清史はロンドンを拠点にヘアデザイナーとしても活躍。そこで得た収入のほとんどを「ザ・イノウエブラザーズ」の活動に費やす。


the inoue brothers... PRESENTS
J-M. BASQUIAT through Nicholas Taylor
NEW YORK NIGHT
Dice&Dice fukuoka&TOWNHOUSE
2015.5.14(thu) 19:00~23:00
Dice&Dice tokyo
2015.5.16(sat) 19:00~22:00

ダイスアンドダイスでは東京店・福岡店にて「the inoue brothers... / イノウエブラザーズ」キューレショーンによる「Nicholas Taylor / ニコラス・テイラー」のイベントを開催致します。
当日はニコラス・テイラー&イノウエブラザーズが来場し、コペンハーゲン発のアートマガジン「PLETHORA MAGAZINE / プレソラマガジン」による写真集「Artist Edition Series / J-M. BASQUIAT through Nicholas Taylor」の発売&ニコラスによるブックサイン会、イノウエブラザーズによるフォトTeeの発売、今回は特別にニコラスがバスキアを撮り下ろしたオリジナルプリントの展示・販売も行います。
そして「はじめてスクラッチをした白人DJ」ともいわれるニコラステイラー and moreによるDJパーティーも予定しております。
ニューヨークの生ける伝説とも称されるニコラス・テイラーの世界観をお楽しみ下さい。
※東京店はご招待制とさせて頂いております予めご了承下さい。

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